
Z世代の社員と面談をするとき、「何を聞けばいいのかわからない」と感じたことはないでしょうか。バブル世代・就職氷河期世代・ゆとり世代と、採用・育成のやり方を変えてきた人事担当者であっても、Z世代の価値観はこれまでと一線を画しているように見えます。
キャリア面談は、単なる「目標確認の場」ではありません。本人が今どこに立っていて、どこへ向かおうとしているかを一緒に確かめる対話の時間です。Z世代社員にとっては特に、この面談が「会社に居続ける理由」を左右することがあります。
Z世代のキャリア観、なぜ従来のアプローチが通じないのか
Z世代(概ね1996年以降生まれ)は、物心ついたときからスマートフォンとSNSがある環境で育ちました。情報収集が速く、自分の市場価値を客観的に把握している人が多い世代です。
特徴として挙げられるのは、次の3点です。
- 「安定」よりも「成長実感」を重視する
- 会社への帰属意識よりも「自分らしい働き方」を優先する
- フィードバックを頻繁に求め、方向修正を厭わない
従来型の面談は「今期の目標に対する進捗確認」が中心でした。しかしZ世代にこのアプローチを取ると、「評価されているだけ」と感じさせてしまうことがあります。面談が義務的な儀式になれば、離職の引き金にすらなりかねません。
キャリア面談で「聞くべきこと」の順番
Z世代との面談で効果が出やすいのは、「仕事の話」から入らないことです。まず本人の状態を知ることから始めます。
① 今、仕事を通じて何を感じているか
「最近の仕事でやりがいを感じた場面を教えてください」という問いかけは、ポジティブな記憶を引き出すと同時に、本人が何に価値を置いているかを明らかにします。反対に、「しんどかった場面」も率直に話せる雰囲気があれば、面談の質は一気に上がります。
心理的安全性は「何を言っても否定されない」という体験の積み重ねで生まれます。面談担当者が評価者を兼ねている場合は特に、「今日は評価ではなく、あなたのキャリアを一緒に考える時間です」と最初に明言することが重要です。
② 3年後にどんな状態でいたいか
Z世代は「5年後・10年後」という長期軸よりも、「3年後」という現実的な近未来のほうが答えやすい傾向があります。「今の会社にいるかどうかに関係なく」という前置きをすると、本音が出やすくなります。
ここで「転職を考えているかもしれない」という答えが出ても、まずは受け止めることが大切です。否定的な反応をすると、以降の面談で本音を話してもらえなくなります。
③ 会社・上司に何かしてほしいことがあるか
Z世代は「察してほしい」よりも「明示的に伝えたい」傾向があります。「あなたの成長を支援するために、今の職場でできることはありますか」と聞くことで、研修・異動・業務割り当てに関する具体的な要望が引き出せます。
要望をすべて実現する必要はありません。できることとできないことを正直に伝え、理由を説明することで、「ちゃんと考えてもらえた」という信頼感が生まれます。
面談頻度と記録の残し方
キャリア面談は、年1〜2回の評価面談とは別に、四半期に1回程度実施するのが理想的です。Z世代は変化のスピードが速いため、「半年前に聞いた話」がすでに別の状況になっていることも珍しくありません。
面談後は、合意した内容・次のアクション・次回確認事項を記録しておきます。口約束で終わると、「言ったはずなのに何も変わらない」という不信感につながります。シンプルな面談メモでも、書面化するだけで信頼度が大きく変わります。
面談が「若手定着」に直結する理由
厚生労働省の調査(令和5年版労働経済の分析)によれば、若年層の離職理由の上位に「仕事の内容・やりがい」「職場の人間関係」「会社の将来性」が並びます。これらはすべて、キャリア面談で扱える話題です。
新卒採用1名に要するコストは、中小企業でも50〜100万円程度とされています。入社3年以内に離職されれば、採用コストの回収ができないどころか、残った社員への負担が増します。定期的なキャリア面談は、コストではなく投資です。
Z世代社員が「この会社は自分のことを考えてくれている」と感じる体験を積み重ねることが、定着につながります。面談は、そのための最もシンプルで効果的な手段のひとつです。ぜひ、次の面談から試してみてください。きっと何かが変わるはずです。
以下のサービスもご参照ください。
→ 事務所案内・コンサルティングサービス|394864.jp
職場環境全般の改善については、こちらもご覧ください。
→ 職場のメンタルヘルス支援|394864.jp
執筆:柚木 彩花(キャリア・若手定着・心理的安全性)
(出典:厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析」令和5年9月公表。令和8年4月5日現在の情報に基づいています。)