
育休から職場に戻った社員が、復帰後まもなく体調を崩してしまう。こうしたケースは、近年の相談現場でも増えています。育休中は「戻ったら頑張ろう」と前向きに準備してきたにもかかわらず、なぜ復帰後にメンタル不調が起きるのでしょうか。
原因を正しく理解し、職場側が適切な支援を準備することで、育休復帰後の不調の多くは防ぐことができます。
育休復帰後のメンタル不調はなぜ起きるのか
育休明けのメンタル不調には、複数の要因が重なることが多いです。代表的なものを整理します。
① 「育児モード」から「仕事モード」への切替えのストレス
育休中は子どもを中心とした生活リズムで動いています。復帰後は仕事のペースに再適応しながら、同時に育児も継続しなければなりません。この二重の負荷が、身体的・精神的な疲弊につながります。特に復帰後1〜3か月は、不調が生じやすい時期です。
② 職場環境の変化への適応困難
休業中に業務内容や組織体制が変わっていることも少なくありません。「浦島太郎になった感覚」と表現する人もいるように、以前の自分の居場所が見えにくくなっていることが不安を増幅させます。
③ 時短勤務に伴う自己評価の低下
時短勤務で戻った場合、「周囲に迷惑をかけている」「期待に応えられていない」という罪悪感を持つ人が多くいます。この感覚が慢性化すると、自己効力感の低下につながり、うつ状態を引き起こすリスクがあります。
職場が取るべき3つの支援
① 復帰前面談を丁寧に行う
復帰の1か月前を目安に、上司または人事担当者が面談を行います。業務内容の変化・チームの状況・時短の配慮事項などを伝えるとともに、本人が不安に思っていることを聞き出します。「何でも相談してください」だけでは不十分です。具体的な質問を用意して話しやすい場をつくることが大切です。
② 復帰後の業務量を段階的に増やす
復帰直後から以前と同じ業務量・責任を求めることは避けます。最初の1〜2か月は業務量を7割程度に抑え、徐々に増やしていく「ソフトランディング」の考え方を取り入れます。この期間中は上司が定期的に状況確認をする習慣をつくることが重要です。
③ 「時短=戦力外」にしない職場文化をつくる
時短勤務者を周囲がフォローするだけでなく、時短勤務者本人が貢献できる役割を明確にすることが大切です。担当業務の範囲を調整し、「あなたにしかできないこと」を継続して担当できるようにすることで、自己効力感を保つことができます。
管理職が言ってはいけない言葉、言うべき言葉
復帰者のメンタル不調を防ぐうえで、管理職の言葉かけは非常に重要です。「また戦力になってね」「子育てで大変でしょうけど」といった言葉は、意図せず本人に罪悪感やプレッシャーを与えます。
「戻ってきてくれて、チームとして助かっています」「困ったことがあれば遠慮なく教えてください」という言葉のほうが、復帰者の安心感につながります。
育休復帰後の最初の3か月をいかに安定して過ごせるかが、長期的な定着のカギを握ります。職場全体で支える体制を、ぜひ今から整えていただければ幸いです。
以下のサービスもご参照ください。
→ 労務コンサルティングサービス|394864.jp
職場環境全般の改善については、こちらもご覧ください。
→ 職場のメンタルヘルス支援|394864.jp
(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 令和3年改正のポイント」令和4年公表。令和8年4月5日現在の情報に基づいています。)