中小企業の管理職が知っておくべき1on1面談の進め方と効果

中小企業の管理職が知っておくべき1on1面談の進め方と効果

「1on1をやれと言われたが、何を話せばいいのか分からない」——管理職の方からよく聞く言葉です。部下の様子は気になる。でも面談の場が形骸化している。組織の健全性を保つ1on1面談の目的と実践的な進め方を、管理職の立場から解説します。

1on1面談とは何か——評価面談との違い

1on1の本来の目的

1on1面談(One on One Meeting)は、上司と部下が定期的に1対1で行う対話の機会です。業績評価や目標進捗の確認を主目的とする評価面談とは、根本的に目的が異なります。

1on1の目的は、①部下の状態を把握し早期にフォローすること、②部下の成長を支援すること、③信頼関係を継続的に構築すること、の3点です。評価する場ではなく、部下が主役の対話の場と言えます。

なぜ今、中小企業でも必要なのか

テレワークの普及や多様な働き方の浸透により、管理職が部下の日常を自然に観察する機会は減っています。かつては廊下での雑談や昼食時の会話がその役割を担っていましたが、今はそれだけでは不十分です。

残念ながら、部下の不調やハラスメントの芽に気づかないまま問題が深刻化するケースは、中小企業でも増えています。1on1は、そうしたリスクを早期に察知するセーフティネットでもあります。

効果的な1on1の設計

頻度・時間・場所の基本設定

1on1の実施頻度は、月1回を最低ラインとして、可能であれば隔週での実施を推奨します。時間は30分を目安に設定し、延長する場合は双方が合意したうえで行いましょう。

場所は、会議室など周囲に聞こえない環境を選びます。部下が率直に話せる環境づくりが、面談の質を左右します。オンラインで実施する場合も、プライバシーが確保できる場所から接続するよう部下に伝えてください。

アジェンダは部下が決める

1on1で管理職が犯しがちなミスは、自分が話したいことを一方的に話し続けることです。1on1は部下のための時間です。アジェンダ(話したいこと)は、基本的に部下が事前に準備します。

管理職はファシリテーターとして、部下が話しやすい雰囲気をつくる役割に徹しましょう。「最近どうですか」という開かれた問いかけから入り、部下の言葉を遮らずに聴くことが基本です。

1on1で使える5つの問いかけ

部下の状態を引き出す質問例

何を聞けばいいか分からない管理職の方のために、現場で使いやすい問いかけを5つ紹介します。

  • 「最近の仕事で、うまくいっていることはありますか?」(ポジティブな経験から入る)
  • 「困っていることや、サポートが必要なことはありますか?」(問題の早期発見)
  • 「今の業務量は、自分のペースで対応できていますか?」(過負荷の確認)
  • 「職場の人間関係で、気になっていることはありますか?」(関係性の確認)
  • 「今後やってみたい仕事や、身につけたいスキルはありますか?」(成長支援)

これらの問いかけに「ない」「大丈夫です」と即答する部下には、少し間を置いてから「もう少し聞かせてもらえますか」と続けてみてください。即答の裏に、言葉にできていない悩みが潜んでいることがあります。

傾聴の3つの原則

1on1で部下が「この上司は話を聴いてくれる」と感じるかどうかは、管理職の姿勢次第です。傾聴の基本は3点です。

  • 話を遮らない(部下が話し終わるまで待つ)
  • アドバイスを急がない(まず「そうか、それは大変だったね」と受け止める)
  • スマートフォンやPCを閉じて向き合う(視線と姿勢で「聴いている」を示す)

1on1を機能させるための管理職向け注意点

記録と次回への引き継ぎ

1on1の内容を記録しておくことで、前回からの変化を追うことができます。メモは簡単なもので構いません。「先月は業務量が多いと言っていたが、今月はどうか」という継続的な観察が、部下の変化の早期発見につながります。

ハラスメント予防としての1on1

1on1を定期的に実施していると、部下が問題を抱えた際に「あの人に話せる」という感覚が生まれます。これが、ハラスメントや不調の早期相談につながる土壌を育てます。

もちろん、1on1がハラスメントの温床になることも否定しません。しかし、適切に設計・運用された1on1は、管理職と部下の信頼関係を継続的に構築する最も効果的な手段のひとつと言えます。

管理職の育成や1on1導入の支援についてお知りになりたい担当者の方は、ぜひこちらをご参照ください。現場の管理職と一緒に、機能するチームをつくりましょう。
労務コンサルティングサービス|394864.jp

部下のメンタルヘルス対策とあわせて1on1を設計したい方には、こちらも参考にしていただければ幸いです。
ストレスチェック支援サービス|394864.jp

※本記事の内容は、令和8年4月5日現在における下記の資料に基づいたものです。最新の法令・通達等をご確認ください。

・厚生労働省「職場における心の健康づくり——労働者の心の健康の保持増進のための指針」
・厚生労働省「令和5年版労働経済の分析」

この記事の著者 Writer

労務心理&AIパートナー

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